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街の中心では子供たちが集会を開いていた。
キノが集会の中に入ると町長らしい少年がキノを前に来るようにという仕草をして、前に呼び出した。
「この人は昨日入国したキノさんという旅人です。みんなはこの人を二十歳をこえた大人だと思っているだろうがまだこえていない子供です。間違えないようにね」
少年が言ったとたんに集会所は暗い雰囲気に包まれた。
「おいおい、みんなそんなに落ち込むなよっ!今日はあの日だろ?さあもう時間だ、行ってこいよ」
子供たちはさっきとは逆の明るい雰囲気に包まれながら国の外に向かって歩いていく。
キノがぽかんとしていると、町長らしき少年が週に一回食料を調達しに行く日があってその日はみんな歓喜に包まれるということを教えてくれた。
キノが何をとりにいくのか、さっきボクが子供だとわかったときなぜあんなに落胆しのかと尋ねたが、少年は明日になればわかる、そのときに一緒になぜこの国には大人がいないかを話すと言って自分の家へ帰っていった。
「こらー!エルメス、起きろー!」
「ん?キノ、もう終わったの?」
「明日になったらなぜこの国に大人がいないか教えてくれるってさ」
「おっ、やったね!キノ」
集会が終わったときには空は焼けるように真っ赤になっていた。
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