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キノが滞在する最後の日、空には雲一つない快晴だった。
昨日のように街の中心へ行くと、たくさんの子供が何かを取り囲んでいる。
キノが町長のような少年の所までエルメスを引きながら歩いて行くと、少年はとてもにこやかな顔で走ってきた。
「やったよ!食料がいっぱい手に入った!うまそうなやつばかりだ!」
キノが子供たちの中心にある食料を子供たちの隙間から見ると、そこには男女区別なく数十人の大人達が縛られていた。
「さあ、もう分かったでしょ?なんでこの国に大人がいないのか」
エルメスの横で少年は語り始めた。
「みんな食べちゃったんだ。大人はとてもうまいんだよ。でもそれじゃあ子供がいなくなっちゃうから、僕たちは二十歳になったら子供を生むんだ。それでみんなでその人を食べる。こんな良い循環方法はないでしょ?」
「・・・・・」
子供たちが縛られている大人たちを笑みを浮かべて包丁やナイフで滅多刺しにして殺していく。
「あぁ・・・人肉のステーキ、人肉ハンバーグ、頭の丸焼き・・・考えただけでもよだれが出ちゃうよ。旅人さんも一緒にどう?」
「ボクは遠慮しておきます。では、もうそろそろ」
キノが広場に背を向けたとき、誰のものとも分からない血の噴水が高く上がった。
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