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その帰り道。
「なあユイ。さっきはちゃんと聞けなかったけど、バイトとかできたの?」
この質問にユイはキョトンとしていた。
「いや、聞き方が悪かった。ユイって自称ロボットだろ?」
「自称じゃないですよぉ♪」
まぁ、この際それはいいとして。
「履歴書にいろいろ書かないといけないのに問題なかったのか?」
普通に考えて無理だろう。
「大丈夫ですよぉ♪履歴書なんて形だけで、年齢とかも偽ったって問題ないですからぁ♪」
いや、それはそれでマズくないかい?
「それに♪お給料は手渡しですから銀行口座を作る必要もありませんので♪」
ほぅ。
今時手渡しとは珍しいな。
つまり大して素姓が明らかじゃなくても問題ないのか。
なんて関心してないで、
「どうして一言だけでも言ってくれなかったんだ?」
少し考えた様子でユイは答えた。
「御主人様のメイドが仕事なのに、他の仕事なんてしてるとバレて御主人様に嫌われたくなかったんですぅ。」
なんだ、そんな事か。
「バカだなぁ。それくらいで嫌うわけないじゃないか。」
そう答えると、ユイの顔が明るくなった。
この時、こんなに俺の事を思ってくれる子を悲しませてはいけないと感じていた。
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