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私は主人と、何不自由ない生活をしていました。そうです、主人は私の被害者。朝野の事ですよ。
私は朝野の愛を自分の物にしたと思い、有頂天でした。
結婚してから暫くは、朝野は本当に良くしてくれましたよ。だから私も朝野の事は信じていました。
じゃあ何故殺したのかって?全くアナタって人はせっかちね、慌てなくても話しますよ。今はただ聞いていて下さいな。
『変だな』
……と気付いたのは、そうですねぇ、一年は経たない頃でしたでしょうか。
主人の朝野が、私を求めなくなったのです。
ふしだらな話し、私から求めない限り、朝野は私を抱こうとはしませんでした。
夫婦ですもの、マンネリ化でもした……と考えるのが常人でしょう。
でも私は幼かったのです。朝野の愛がここには無いと思ってしまいました。
そりゃあ夜の生活です。甘い言葉の一つや二つはありますけれど、朝野はこちらを向いてはいても、決して私を見る事はありませんでした。
私の瞳には常に朝野が映っていますが、朝野の瞳には何が映っていましょう。
私は不安で不安でなりませんでした。
こんな恐怖を感じた事が無かったのですから……。
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