告白:朝野姉弟

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まぁ『妙だな』と思う事。強いて言うなら携帯電話でしょうか。私の前では一切弄らないのです。 朝野が寝入った頃、一度だけ盗み見しようとしましたが、着信履歴や発信履歴、メールに関しましても全て削除されていたのです。 残っているのは電話帳くらいでしょうか。 そんな朝野に、私は不信感を抱き始めたのです。 それともう一つ、私が『妙だな』と思いましたのは、家にある離れ……。 何の整備もされていなく、荒れ放題なのですが、電気やガス、水道までも通っているのです。 一度、朝野に聞いてみたのですが“趣味の部屋”だから近寄るなとだけ言われました。 よくよく考えれば、不可思議な事ですよね。私は朝野の言う事を信じて、離れには近寄りもしませんでしたもの。 そんな朝野が離れに行くのを、私は目撃してしまったのです。 それも私に隠れるように…。私は朝野が離れに行くのには何か…他の意味があるのではないかと考えたのです。 何故“妙だ”と思ったかと言いますと、主人が離れに行くのが、決まって夜更けなのです。 昼間に訪れる姿を見た事がないのです。
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