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いきなり頭一つ飛び出したのは
花火のゼファーだった。
スプロケットの丁数を変えていたため、加速がいいゼファーに尚更拍車をかけていたのだ。
フォンッ
カーブが続く七曲がり峠、アクセルワークと加速が物を言う。
ギャァァアァッ
単車のチェーンは今にも引きちぎれそうな音を発している。
後続は拓海、美由紀、タケシの順番だった。
最高速重視な彼等の単車は、緩いカーブからのストレートで花火を抜こうと考えている。
角度のキツイカーブは花火のゼファーが物を言わせていた。
バンク角を深く寝かし付けるように倒す花火。
ステップがアスファルトを擦りガガガと火花を上げている。
フォンッッッアアアアアー
やがて、ストレートに差し掛かる。
花火はアクセルのスロットルを全開にした。
ギァァアッ
エンジンは悲鳴をあげる。
すると、後続の三台は、花火の単車を捕らえたのだ。徐々に縮まって行く距離。彼等もスロットルは全開だが、エンジンは、まだまだ回る。
ブォンッ
ババンブー
ドドドドッ
やがてカーブに入る前で花火は抜かされ最後尾についてしまった。
しかしカーブに入れば花火の独壇場だった。
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