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花火はその光景をサイドミラーで見てしまった。
花火『みっ美由紀さんっ!』
声をあげる。
美由紀『くっっ…』
美由紀は単車から投げ飛ばされ全身擦り傷だらけになっていた。
しかしムクッと立ち上がり
美由紀『花火ぃ!振り向くなっ突き進めぇっ!』
ありったけの声を腹からだす。
花火『押忍!!絶対かちますからっ!』
美由紀の耳には単車の排気音と共に、花火がそういってる用に聞こえた。
美由紀『ヤキがまわったね…アタシも…』
バンブーババンブー
キキーッ
一台の単車が美由紀の目の前に止まった。
美由紀『お、おまえ…』
単車に跨がっていたのは、タケシだったのだ。
タケシ『あらあら総長さん、大丈夫?無理しよらんと』
美由紀『分かってる、しかしアタシはもうリタイアだよ』
転がっている単車に指を指す。
タケシ『まだエンジンかかるやろ?』
おもむろに美由紀のGSXを立て起こし、セルを回す。
キュワンキュワン………
キュキュキュキュ……
キュキュキュキュ………キュイーンと書きたい所だが…
キュキュキュキュ…ブォンッ ボボボボ
エンジンが掛かるのであった。
タケシ『さて、俺もリタイアや。一人の男に二人掛かりは卑怯やでな』
美由紀『おお…』
美由紀はタケシの中に男気を感じた。
タケシ『まぁ二人仲良くバックレてしまおか?』
ニタニタ笑うタケシ。
美由紀『調子に乗るな!完走くらいはする』
さっき感じた男気が消え去ったのは内緒だ。
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