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面会時間を過ぎた夜
「なぁ~夢鬼」
ふと呼び掛けてみる。夢鬼は罪の意識からか常にオレのそばにいる。
「なんだよ拓也。また文句かぁ?もう勘弁してくれよ😅」
夢鬼は憂鬱そうに答える。妖怪でも眠くなるらしい。
「そうじゃなくて、この時代のオレって何してるんだぁ?」
ふと抱いた疑問。
オレが本来入るはずだったオレの体はどこにあるんだろうと…
「まぁその内わかるさ。看護婦が見に来る前に寝ちまえよ。」
そう言うと夢鬼は寝息をたて始めた。
「まぁそりゃそうか。」
近くにいるのはなんとなくわかる。やっぱり同じ魂だからだろうか…
次の日
今日は脳の検査をした。
一応は記憶喪失ってことになっている。(そりゃ貴士じゃないですから)
特に異常は見当たらなかったので明日で退院することになった。
「いやぁよかったですよ。あれだけの大事故でこんなに早く退院できるんですから😃」
主治医の先生が笑顔でそう言った。
いろいろと怪我をしていたらしいが夢鬼が魂を入れる前に全部治したらしい。
あいつはホントに妖怪なのか?
「記憶の混乱は時間がたてば次第に良くなると思います。後は二人で何とかしてください。」
…ずいぶん適当な医者だ。「本当にありがとうございました先生。」
一応は挨拶しておこう。名前も知らないがな💧
病室に戻るとミキが来ていた。
「たかしぃ~、いつ退院できるの⁉」
ミキが聞いてきた。
「ん( -_・)? 明日には退院するんだって~」
するとミキは嬉しそうに抱きついてきた。回りの視線が痛い…
「ホント⁉佐久間先生のおかげだねぇ⤴」
…今なんと?
「なぁ、あの先生の名前何て言うんだ?」
恐る恐る聞いてみる。
「ん~、たしか佐久間拓也って言ってたよ~。救急医療の世界じゃ結構有名だって⤴」
…マジですか?
オレ、結構有名な医者になるの??
すると夢鬼が
「まぁこの世界は一つの可能性だ。違う未来もあるから調子に乗るなよ😁」
たしかにパラレルワールドとはそういう意味だ。これもオレの一つの未来の姿か…
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