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アリア歴305年に起きた「一夜の惨劇」後、あの時の少年は、再び剣を取る道を選び、エリートにしかなれないと言われた、騎士になる道を選んだ。 「騎士」という称号を得るには、まず貴族であるか、また貴族の推薦があるか、士官学校の成績優秀者であるかが必要になる。 次に、訓練を重ねて選抜されていく。 最後に、選抜された者同士の、決闘と戦の演習をトーナメント式にやって、上位三名が陛下自らが出す試練を乗り越えた者のみ「騎士」の称号を得る事になる。 少年は、新竜兵団に所属していた為、士官学校など行っていない。勿論、貴族でもない。貴族のコネもない。しかし彼が、この道を選べたのは、「一夜の惨劇」に出会ったというのに、戦いを求めたからだ。 そして、あれから三年。 少年は立派な青年へと成長した。そして今日この日、無力だった自分と別れ、新しい自分に生まれ変わる。 「騎士」として。 厳粛な雰囲気を纏い、見る者全てを圧倒する程の広さを持つ、グレーヌ大聖堂。 そこに国王陛下、大貴族や、六将軍等、王国のトップの人達が参列していた。 国王は一番奥に厳粛に立っていた。やがて、大聖堂の入口が鈍い音を立てて、ゆっくりと開き、一人の若者がゆっくりと入ってきた。 入って来たの一人。まだ若い青年だ。その身には純白の鎧を身に着けていた。 ゆっくりと国王の元へ歩いて行く。そして国王の元で膝間付いた。 国王は隣りにいた従者から純白な鞘に入った剣を受け取り、剣を青年の両肩に二回ずつ当てた。 「汝に誉れある騎士の称号を与えん。この剣は、友の為、仲間の為、民の為に振え。さぁ、面をあげよ」 スッと立ち上がる青年。 「リオン・マークハルト。新しき騎士よ。そなたの二つ名は純白の狼だ。この剣を汝が牙に変え、存分に振え」国王がリオンに剣を渡す。剣を受け取ったリオンは、鞘から身を抜き、切っ先を天に向けて、地に刺した。 「我リオン・マークハルトは、友の為、仲間の為、民の為に、この牙を振う事を誓います!」そういうと、国王は深く頷いた。と同時に破れんばかりの拍手がなった。 新しい騎士が生まれたのだ。 「一夜の惨劇」から三年。少年は青年へと成長し、国を担う騎士となった。 これより歴史の歯車は急速に動き出す。
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