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ミートボールを口に運ぼうとした時、さっきまで騒いでた紅が地べたに正座をして物欲しそうにこちらを見ていた。
ちなみにここは屋上である。
「俺の居場所を取った挙句、飯まで取るつもりか?」
「え、ダメ?」
ちょこんと少し首を傾げて顔を覗き込んでくる紅…馬鹿女でも容貌や体型は何故かモデル並に良く、ふわりとしたストレートの髪が俺の頬を擦めていく。
俺が少し固まっていると
「へへっ、もーらい♪」
ミートボールをひょいと口に放って美味しそうにしてるお前がいた。
「そういえばお前って最近引っ越してきたんだろ?どこに住んでたわけ?」
俺は弁当を片付けながら、柵に寄りかかりながら空を眺めている紅に聞いた。するとニッコリ笑って遠くの方を指し話すお前が、少し悲しそうに見えたのは俺の気のせいなのか…
「私はねぇ…あそこの山に住んでるんだぁ~」
「なぁ~んだ山小屋か。熊に食われんなよ。」
空元気なお前をからかったら、少しは本当の笑顔を見せてくれると思ったんだ。
だからその後の、俺に食ってかかるお前の反撃を見て安心した。
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