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鳥を追い越し、風を切り、魔王は飛び続けていた。
「リデルは無事だろうか」
フェイドは思ってすぐに、ダリオの心配をしていない自分に気付いた。
いや、心配はしていた。しかし、それ以上にリデルのことが気になってしかたがなかったのだ。
「次の手紙で話そうと思っていたのだが……これは、直接伝えよという神の意思か?フン、魔王が神の名を口にするのもおかしいか。」
意外にも冷静で、独り言の多い自分を鼻で笑いながら、北の都へと急いだ。
澄み渡っていた空には、少しずつ、雲がかかり始めていた。
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