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「不思議か? 不思議だろうなァ、そのチェーンみたいに、アンタもバラバラにしてやろうか?」
突然、背後から男の声がした。ジャックはゆっくりと振り返る。
男は、見た目は二十代で深緑色の瞳。茶髪を逆立て、服装は比較的ラフだ。体格は良く、両手には革手袋をしていた。
「あァ、アレだ。アンタが『特務機関』から来たって奴だろ? てことは、アイツ等は捕まったのか。だらしねえなァ。この場所は、アイツらを尋問でもして聞き出したのか? ん?」
ジャックは男の声を無視し、懐からオートマチックの拳銃を取り出す。
勿論、銃は本当に撃つつもりは無い。余談だが、ジャックは、射撃の腕にはそこそこ自信がある。
「お前が、あの銀行強盗をけしかけた張本人なら、逮捕する事になる。無駄な抵抗はしない方が、身の為だと思うぞ」
だが男は、余裕をたっぷりといった感じに、後頭部を掻きながら、「どうしたものか」と口元を歪めていた。
筋力が強化されたタイプのEF.rは、自信過剰な奴が多い。
この“ウルフマン”も、例外でないのであろう。と、ジャックは変に確信を持つ。
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