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岸壁に腰掛け、近くの自販機で買ってきた不味い缶コーヒーに眉をひそめていると再び、ポケットの中身が振動した。
「お疲れ様。『手錠』は、合ってた?」
「あぁ、まあな」ジャックは、舌打ちをしながら缶の中身を海に流し、残りのアルミ部分をゴミ箱に放った。
『手錠』とはその名の通り、拘束具としては勿論、EFを封じる役割をもっている。
尤も、EF.r本人と手錠の波長――相性のようなもの――が合っていないと、効果は薄いのだが。
「そう。今、逮捕チームを送ったから、もう大丈夫よ。到着を確認したら、今日はもう帰っていいわ」
ジャックは心からホッとした。辺りは陽も落ち、すっかり暗くなっている。
「わかった。それじゃあ、お休み。……それと、寝てる時に電話はよこすな――」
「それは出来ないわ」
即答だった。ジェシカのその冷ややかな声に対し、ジャックは無言で電話を切り、ささやかな抵抗をした。
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