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「……さて、作戦決行だ」
カチリと音を立て、ライターをコートのポケットにしまうと、男は、近くにある木に背をかけ、踏ん張る。
彼が右腕を突き出す。すると、それはみるみるうちに金属の鎧のように変化し、バチバチと青白い雷光を放ち始めた。
これが彼のEFだった。異常なまでに高めた体内電流を操り、金属変化させた部位から、破壊の光を放出する事が可能。
雷光がいっそう強まる。赤髪の男は、眩しさに腕で顔を覆うが、黒髪の女は、それをじっと見据えている。
次の瞬間、コートの男の腕から、一筋の閃光が放たれた!
それは青白い軌跡を残し、轟音と共に、一瞬で、刑務所の分厚い壁を破壊する――否。壁を『消した』のだ。
コートの男は、その場に腰を下ろす。
肩は大きく上下し、息も荒い。額には冷や汗が浮かぶ。自らの体に襲いかかる攻撃の反動と格闘している。
「いけ! しくじるな!」
コートの男が行った破壊の爪跡は凄まじく、目指すC棟の壁まで、大きな風穴を残していた。
赤髪の男と、着物の女は、開いた壁から刑務所内部に進入する。
途中、破壊音を聞きつけて群がってきた刑務官達は、蹴散らし、斬り捨てる。
やがて二人は、厳重に管理された――尤も現在は、監視カメラから人員まで、全てが無力化されているのだが――独房の前までたどり着く。
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