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それから数分後。レナードの足元に横たわる刑務官の数は、五人に増えていた。
首をゴキゴキと鳴らしながら、彼は大きな欠伸をする。
「まだ殴りたねぇなぁ。そっちはどうなんだ?」
着物の女は、操作パネルから筒状の房へと伸びる、パイプを見ていた。
ある程度間をおき、応えるのは面倒といった調子で、言う。
「……もうすぐ終わる。何も問題は無い」
「流石『サムライ女』。でもなんで、ルチアーノのEMP(電磁パルス)で、ボスの房だけが破壊されないんだ? 無差別に機械を壊しちまうんだろ?」
「お前に、そんな事を考える脳ミソがあるとは、思っていなかったな」驚いたフリをしながら、言葉を続ける。
「……元々この刑務所は、EMPは勿論、外部からのあらゆる攻撃に対する、強固なシールドが張られていた。それを、ボスの房以外無効化させただけだ。元々死刑囚ばかりだ。房の制御が消えて、中身の囚人が死んだとしても、知ったことではない」
ヒュウ、とレナードは唇を鳴らす。
「冷たいねぇ……。それをやったのは、マリィだろ? あいつは、ボスよりはルチアーノ側だ」
その質問に、彼女は答えない。なぜなら目の前の円筒のあちこちから、冷気が噴き出し、房内にいる囚人を解凍すべく、動き始めたからだ。
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