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耳障りな高周波の音が鳴り響く。房が激しく振動し、冷気の煙幕が立ち込めた。
レナードは眉根を寄せ、着物の女は相も変わらず無表情。
放出される冷気の量が、沈静化する。と共に、円筒形の独房の前半分が開く。
中から男が現れた。
白灰色の髪色。
闇の中に光る金色の瞳。
蛍光色の囚人服に包まれていても分かる程、無駄の無い引き締まった肉体。
何より、その存在感が、周りに強烈なプレッシャーを与えていた。
彼は、辺りを軽く見回すと、第一声。
「どのくらい……経った?」
着物の女が応える。
「三ヶ月と十二日です、ドレイク様。申し訳有りません。計画に手間取っ……!」
強烈な爆音が響く。ドレイクの掌から放出された、白い炎が、並んでいる円筒を全てはじき飛ばす。
ジリジリと灼け、ひしゃげた金属片が、一面に散らばっていた。
深く、感慨深げにため息をつくと、ドレイクは呟くように言った。
「……もういい。此処を出る」
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