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『対EF犯罪特殊任務遂行機関』
EFを使用した犯罪に対処する為に結成された組織で、その存在を知る者達には『特務』や『特務機関』などと呼ばれ、知られている。
ジャックも、その特務機関に所属する者の一人であった。
「ようジャック! 調子はどうだ? ちなみに、俺は絶好調だ!」
この街の特務機関支部の、ビルの一室に通されたジャックは、自分の名前が大声で呼ばれたことに、あからさまな不快感を感じた。
大声の主はケビン。自称『ジャックの相棒』な大男で、筋骨隆々。
その体格に似合った、大ざっぱな効果のEFを持っている。だが、彼のEFは制御が難しいため、声さえ聴かせれば他人を操れるジャックと、よく組んで行動していた。
情報機材や端末が敷きつめられた、モニターだらけのオフィスと、忙しく動き回る機関の職員達を、ジャックは見渡す。
此処はいつ来ても、こんな感じだ。
しかし、ケビンだけは、隅にある二人掛けの革張りソファに一人で座り、呑気にくつろいでいた。
派手なシャツが真っ先に目に付く。手には、コーラがなみなみと注がれたグラスを持っている。
頭を軽くさすりながら、ジャックは呆れた。
「相変わらずやかましい奴だな。ケビン」
「だはは」と、特に気にした様子も無くケビンは笑う。
そして、コーラを一気に飲み干すと、擦り切れたジーンズに両手を拭い、ケビンはソファから立ち上がった。
彼の蒼い瞳が、ジャックに向けられる。
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