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「久しぶりだなぁ! 銀行強盗を退治したらしいじゃねぇか! ジャック!」
右手を差し出すケビン。
払いのけるジャック。
「お前まで呼ばれてるって事は、何か面倒な事が起きたようだな。何かわかるか?」
ケビンは肩をすくめ、茶髪の頭を左右に軽く振った。
ジャックは頷き、「そうか」と倦怠感たっぷりに呟くと、ケビンを避け、彼とは別の、離れたソファに腰掛けた。
尤も、すぐさま、ケビンも近くに寄っては来たが。
それから、数十分後。ケビンの長話にジャックがうんざりしていると、ダークスーツを着た中年の男が、片手に複数のファイルを持って、オフィスに現れた。
凛々しい雰囲気の、中間管理職。頭髪にはうっすらと白髪が混じっている。
「カーティス、遅かったな。俺とケビンを呼んだりして、一体何の用だ?」
カーティスは、この支部を仕切る支部長という職に就いている。EFを持っているらしいが、すでに一線を退いた為、それを確認する事は、いまとなってはほぼ不可能である。
ジャックの問いに対し、低いダンディな声と、真剣な面持ちで、カーティスは語り始めた。
「数日前、ある街が大停電になった。知っているか?」
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