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知っているも何も、朝早くから、あらゆるメディアで取り上げられている、一大事件である。
テロ、何者かのEF、様々な憶測ばかりが飛び交っていた。だが、ジャックは、数日もあれば解決すると考えていたし、ケビンは、ニュースを聞き流していた。
二人が首を縦に振ると、カーティスは話を続けた。
「昨日の深夜、隣のシュドシティが大停電にみまわれた。だが、それだけでは無い。その都市にある車、ヘリ、パソコン、携帯電話に至るまで、全ての機械、精密機械類が使い物にならなくなってしまった」
眉をひそめるジャック。
グリーンティーをすするケビン。いつの間に……。
グリーンティーの謎を記憶から消去し、ジャックは、カーティスに問いかけた。
「ただの暴走EF.rの仕業か? ……いや、目的は停電以外にあった筈」
「流石、鋭いなジャック。時を同じくしてその街の外れに在る刑務所が、襲撃されている。刑務官が多数死傷、囚人が一人、脱獄した」
柄にもなく、これまで黙っていたケビンが、空になったカップをテーブルに置き、ケビンが訊ねた。
「脱獄? ……誰だ?」
「ヴィクター・ドレイク。またの名を“メルトダウン”・ドレイクとも、呼ばれていた」
聞き覚えはあったが、記憶から引き出せない名に、ケビンは首を傾げる。
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