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傍らに針葉樹が並び立つ林道を、頑健な風貌の、黒いSUV車が走り抜ける。
淡々と、緑色の景色を映し続けている車窓を眺めるは、ジャックとケビン。
『アルプスの天然水』と書かれたプラスティックボトルを傾け、中身を、胃に流し込んでいるケビンに、ハンドルを握るジャックが注意を促す。
無駄だとは分かっているが。
「ケビン、飲み過ぎだ」
ケビンは、空になったボトルのキャップを閉めながら、と満足げに息をつくと、目線を、アスファルト上のセンターラインに向けているジャックを見やる。
「前にも言ったべ? EFが使えるようになってから、なぜだか知らんが、喉が乾いて仕方ないんだ。習性? ……お前はそういう事無いのか? ジャック?」
バキバキと音を立てながら、ケビンの掌の中で、プラスティックボトルはどんどん小さくなってゆく。
ジャックは、ため息をついた。
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