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鮮やかな黄色地のテープに、黒字で書かれた『立入禁止』の文字。
「こりゃあひどいな」と言いながら、ケビンは、黄色テープと、彼を制止しようとする警察官を無視する。
現場をズカズカと荒らす大男を、心配そうに見つめながら、刑務官はジャックに耳打ちをした。
「……あの人、いつもあんな感じなんですか?」
そう考えるのも無理もない。だがジャックは、幾度となく同じような光景を見てきている。
ただただ、呆れるしかない。彼は興味を持つと止まらない。ジャックは言い訳をする。
「あれは奴なりの調査なんですよ。度が過ぎる時はすぐに……そらきた」
場の空気が、ピンと張り詰めた。
ベタな表現方法だが、蛇に睨まれた蛙というのは、こんな気持ちになるのだろう。
直後、刑務所中に響くような、強烈な怒声が響いた。
「またお前か! 馬鹿ケビン! 現場を荒らしやがって! ブッ殺すぞ!」
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