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声の主はマクレガー警部。
セミロングの赤みがかった黒髪を持つ、女性刑事である。髪と同じ色の瞳には、怒りの炎がメラメラと燃えていた。
「さっさとそこをどきな! 邪魔だ!」
強い足取りと口調で、邪魔者を撃退しようと、近づいてきた。
だが、そんな怒りの矛先を払いのけるかのように、ケビンは飄々と応える。
「よぅシンシア! もっと小魚と牛乳を摂れ。黙ってりゃ、美人なのにな」
火に油。マクレガー警部は、左手でケビンの胸ぐらを掴み、大柄な彼を、壁に叩きつけると、右手で懐のホルスターから拳銃を取り出した。
(これはちょっとヤバいな……)ジャックは、ケビンに注意を促した。
「ケビン」
流石のケビンも、悪いと感じたのかすごすごと引き下がる。
マクレガー警部は舌打ちをし、拳銃をしまうと、ジャックとケビンを睨みつけた。怖い。
「全く……他ならぬ、カーティスさんの頼みだから、現場に入れてやってんのに。ジャックも、ちゃんとこの馬鹿の面倒を見て頂戴。これ以上、この現場を荒らすってんなら、二人共つまみ出すよ」
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