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「わざわざ現場に来ても、結局は、何も分からず終いか」
退屈な表情で、退屈な曲が流れるカーラジオ聞き、退屈そうに欠伸をしながら、助手席のケビンが呟いた。
なだめるような口調で、ジャックが言葉を返す。
「仕方ないさ。俺が抜けたのは数年前だ。その間に、組織にはいった奴の仕業だって事は、分かったんだ。俺達は、自分が出来る事をやるだけだ」
「なんだか腑に落ちねェぜ。まぁ、シンシアの顔を見れただけでも、良としておくかな」
ジャックの目に妖しげな光が灯り、彼は口元を歪ませる。
「マクレガー警部、いや、シンシアに、気持ちを伝えなくてよかったのか? お前、まだ彼女の事を……」
退屈など、一気に吹き飛んでしまったとばかりに、ケビンは慌てだす。分かりやすい男だ。
「ッ!……茶化すなよ。ジャック」
「ハハハ。いつも振り回されっぱなしだからな。お返しだ」
「……ったく」
ケビンが、ふてくされて窓の外へと目線を向ける。
ジャックは、その様子を見て、しばらく笑いっぱなしであった。
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