146人が本棚に入れています
本棚に追加
強盗達本人は大真面目なのだろうが、ジャックの目にはふざけているようにしか見えなかった。
笑いを堪えるのが大変だ。
しかし、そんなコミックキャラクター達も、各々銃を持って武装している。
それだけで、無表情な面に対する恐怖感は増す。
だがジャックは、それに怖じ気づく事は無かった。人数を素早く確認し、強盗達の後を追って銀行へと乗り込む。
恐怖よりも、彼には仕事を早く片付いたいという意識だけがあった。
銀行の入口ドアが開いた瞬間、ジャックは、犯人の一人に、銃口を向けられる。
……普通の銀行強盗なら、至極当たり前の行動だ。誰だってそうするであろう。
「誰だテメェ! 警官か!?」
強盗の一人――彼はマシンヒーローだ――の大声に、他の強盗達も彼の存在に気づく。
それに伴い、向けられる銃口も、四つに増えた。さすがのジャックも、たじろぎ、両手を上げる。誰だって、銃を突きつけられるのは、良い気分ではない。
(確か、犯人の一味は五人。残りの一人は……)
ジャックは首を傾け、マシンヒーローの頭ごしに、銀行の奥を見やる。
(……あァ、奥の方でバッグに金を詰め込むのに夢中か)
ジャックは、面倒なのでまとめて片付けたかったが、この状況では贅沢も言っていられない。
マシンヒーローが引き金に指を掛け、喚いている。些か危険だ。
最初のコメントを投稿しよう!