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往きの馬車の中は騒がしかった
途中ロキが何度吹っ飛んだか正確に数えていたのはサラだけだろう
目的地のガンビィーナにつく頃にはロキの服はボロボロになりとても王族が着る服には見えなかった
『ロキ……ごめんね』
申し訳なさそうにエルティアが言う
『別にいいよ
ただこれからはもうちょっと控えめにしてくれると嬉しいかな……』
気のない声でロキが答える
『ロキ様
此方の召し物にお着替え下さい
ここから先は何があるかわからないので……
姫様も此方を……』
サラはそれぞれに服を渡しロキは外に出て着替え始める
すると馬車の中から
『何よこれ!?
図ったわね!!』
どうやらまたサラがエルティアで遊んでいるらしい
ロキは巻き込まれない様に少し離れた岩場に移動する
『ここなら大丈夫だろ……』
そうしてロキが岩の陰で着替えていると突然出てきた人と目があった
相手は小柄ながらもとても可愛い女の子だった
年頃は15~6だろう
二人は時も忘れて見つめあった
ふと少女が我にかえった少女は悲鳴をあげた
当然だろう
普通幼い少女がこんな道端で着替えている奴に遭遇したら叫ぶだろう
ロキは慌てて服を着ようとしたが時すでに遅し
悲鳴を聞きつけたエルティアがロキの元へ走って来ている
『ロキー!!』
修羅だ……
『エルティア誤解だ
これは、その何かの間違いだって……』
『覚悟!』
恒例とかしたエルティアの右ストレートが炸裂したかと思った瞬間
悲鳴をあげた少女がロキの前に仁王立ちしてエルティアの右ストレートを受け止めた
『と、止められた……』
エルティアは落胆して地面に膝まずいた
右ストレートにはかなりの自信があったらしい
『あの……なんというかありがとう』
安堵の表情でロキが少女に言う
『は…やく……』
少女が何か言うが小さくて聞こえない
『どうかしたのかい?』
ロキが少女を心配そうに覗き込む
『早く服着ろー!!』
吹っ飛んだ……
可哀想にロキは吹っ飛ぶ以外の選択肢がないようだ
『なんで…いつも俺が……』
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