空は泣きそうな程鉛色で

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それから少し薫ちゃんと話をして、バイトがあるからと薫ちゃんと別れた。 また、図書室に一人。 オレンジ色の太陽はすでに沈みかけていて、空は悲しい闇に包まれる。 そろそろ帰ろうかな、と椅子から腰を浮かせた瞬間 もの凄い音を立てて、ドアが乱暴に開いた。 「わっ!!!」 入ってきた男の子と目が合う。健康的な肌の色に、黒い髪、大きな目に大きな口。 よっぽど急いでいたんだろう、ハァハァと肩で息をしている。「す、すんません。人居るって知らなくて…驚かせちゃって」「……あの、どうかしたんですか…?」 「今日中に提出の宿題、ここの机の上に忘れちゃって!!」 そう言うと男の子はあたしの座っている位置から少しだけ離れた机の前まで来て、丁度机の上に無造作に置かれていたプリントを取った。 「あった~!!」 心底安心した顔。 見掛けない顔だけど、あたしの学年の子かな。 ふいにそう思って男の子のブレザーを見れば 青いバッチ。 この高校は学年ごとにバッチの色が違うから、3年生は赤、2年生は青、1年生は緑 と分かれている。 「2年生??」 「あ、はい。先輩は3年っすよね?確か、笠原先輩!!」 「え…?なんで名前……。」 男の子は屈託のない笑顔でにかっとさわやかに笑う。 なんで名前知ってるんだろう??嫌だな、変な噂流れてたりして「谷本先輩が、いっつも自慢のよーに話してますもん。」 谷本は ヒロキくんの名字だ。 「じ、自慢??」 「あいつのノートには毎回助けてもらってんだって。宿題の答えも完璧だし、天才だよなってやたら自慢気に。」 ボッと 火がつくように自分の顔が真っ赤になるのを感じた。
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