空は泣きそうな程鉛色で

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中学の時好きになったのは マジメで勉強好きな男の子で。その恋はあっけなく卒業と共に幕を下ろした。 いつもそう あたしの恋は見ているだけで 誰にも気が付かれずに終わる。 放課後 夕日に照らされた図書室で、 あたしはいつもの様に本を読むと、度の合わない眼鏡を押し上げた。 可愛くなりたいと思わないわけじゃないし、彼ともっとたくさん話しもしたい。 でも急に怖くなる。 それは言葉にはできない程の恐怖で、あたしはいつもそれに不安を抱えながら教室の隅にいるのだ。 つまらない、そう思われることがとてつもなく嫌だった。 TVや本では、恋人たちにどんな試練が降り掛ろうと最後はハッピーエンドなのに 実際はそう上手くもいかない。積極的な行動は時に誰かを傷つけたり、怒りに火をつける導火線と化す。 そう こんな風に。 「ちょっとさぁ、あんた頭良いからって調子のんじゃないよ」 あぁ、このままどこかに 消えてしまえたらいいのに。
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