302人が本棚に入れています
本棚に追加
「こらっ!!あんたたち何してんのよ!!!ここ図書室だよ!?」
大きな声に顔を上げれば
「薫ちゃん……。」
あたしの中学からの友達、
玉城薫が仁王立ちで図書室のドアの所に立っていた。
相変わらずな茶髪とピアスが、あたしに声を掛けてきた女の子たちを威嚇するように、キラリと光を反射する。
「アヤに文句があるならアタシが特別に聞いてやるけど?」
薫ちゃんは
中学の頃からみんなが恐れるヤンキーで、なぜかはわからないけどあたしは薫ちゃんに気に入られていつも助けてもらっていた。薫ちゃんはいつも
『アヤから休んだ時のノート見せてもらってるから、おあいこだ。』なんて言うけど。
なんだか申し訳ないのは本当で
「……ったく、本人にグダグタ言うくらいなら自分でヒロキを振り向かせてみりゃいいんだ。アヤ、大丈夫か??」
「あ…。あたしは大丈夫だよ」いつの間にか図書室から逃げるように去って行ってしまったあの女の子たちも
あたしと一緒。
ヒロキくんに振り向いて欲しくて、誰にも取られたくなくて。
他愛のないことに嫉妬する。
誰の中にもある、当たり前の感情なんだ、それは。
最初のコメントを投稿しよう!