空は泣きそうな程鉛色で

8/12
前へ
/100ページ
次へ
「かーさーはーらー!!!」 「っな、何!?」 突然名前を呼ばれて顔を上げれば、そこにはヒロキくんの顔のアップ。 あぁ、今日も朝から顔整ってるなぁ………………。 「笠原!!聞いてる!?」 「は、はい!!」 「あのさ、昨日ナオヤと会ったんだって??」 ナオヤ………?? あ。 藤原くんのこと、か。 「うん。」 「あいつ、何か余計なこと言ってなかった!?」 「え……?」 『谷本先輩があいつのノートには毎回助けてもらってんだって。あいつは天才だって。』 改めて思い出すと 顔が赤くなる。 「やっぱり……。あいつ余計なこと言ったんだろ~??ゴメンな??それ、忘れていいから。」 「え…?」 『忘れていいから。』 「じゃあな。本当にゴメン。後であいつにも言っとくから!!」 あたしは、 呆然とその場に立ち尽くしたまま、去っていく彼の後ろ姿を 焼けつくような思いで 見送った。
/100ページ

最初のコメントを投稿しよう!

302人が本棚に入れています
本棚に追加