空は泣きそうな程鉛色で

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誰かが誰かを好きになるのは簡単なのに。 お互いの気持ちが向かい合わせになるのは、難しい。 「で?そいつ、名前なんてゆーんだよ??」 「え…………?」 昼休み。 もうすでに秋の匂いがする風に吹かれながら、あたしは購買部のパンを飲み込んだ。 薫ちゃんが呆れた顔をする。 「だから、その後輩だよ。」 「藤原くん。藤原ナオヤくんだったかな??」 「藤原?」 「うん。背が高くて目立つ子」明るい笑顔が まるでヒマワリみたいな。 「そいつがなんかヒロキにちくった可能性もあるんじゃないか~??怪しいぞ、そいつ。」 「そうかな。悪い子には見えなかったよ?」 「だってアヤ、そいつのこと何にも知らないんだろ?」 確かに。 あたしが知ってることと言えば藤原くんの名前と ヒロキくんの後輩だってこと。それ以外のことは何1つ知らないんだ。本当に。 「んじゃ、ちょっくら探りでも入れてみるとしますか!!」 え!? 「い、いいよそんなの!!」 あたしが慌てて拒否すれば 面白くて仕方ないって顔した薫ちゃんが振り返る。 「いーからいーから。」 本当かなぁ??
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