302人が本棚に入れています
本棚に追加
誰かが誰かを好きになるのは簡単なのに。
お互いの気持ちが向かい合わせになるのは、難しい。
「で?そいつ、名前なんてゆーんだよ??」
「え…………?」
昼休み。
もうすでに秋の匂いがする風に吹かれながら、あたしは購買部のパンを飲み込んだ。
薫ちゃんが呆れた顔をする。
「だから、その後輩だよ。」
「藤原くん。藤原ナオヤくんだったかな??」
「藤原?」
「うん。背が高くて目立つ子」明るい笑顔が
まるでヒマワリみたいな。
「そいつがなんかヒロキにちくった可能性もあるんじゃないか~??怪しいぞ、そいつ。」
「そうかな。悪い子には見えなかったよ?」
「だってアヤ、そいつのこと何にも知らないんだろ?」
確かに。
あたしが知ってることと言えば藤原くんの名前と
ヒロキくんの後輩だってこと。それ以外のことは何1つ知らないんだ。本当に。
「んじゃ、ちょっくら探りでも入れてみるとしますか!!」
え!?
「い、いいよそんなの!!」
あたしが慌てて拒否すれば
面白くて仕方ないって顔した薫ちゃんが振り返る。
「いーからいーから。」
本当かなぁ??
最初のコメントを投稿しよう!