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――時を同じくして、ボークリート首都フログ――
その片隅に、小さな木造の家があった。
…――ドサッ――
「…疲れたぁ……」
茶髪の少女が、部屋のベッドに転がり込んだ。
「ここなら、あいつらにも見つからないだろうしね…」
呟きながら。
…何を隠そう、此処は彼女の秘密基地である。
昔からおてんばだった彼女は、こうやってバレないように悪戯をするのが大得意だった。
彼女、サン=グレイ=ディオニュソスは、そういった意味で頭がきれる人物であった。
「…そういや、あいつ…上手くいってるかな…?…大丈夫かな…」
サンは、頭に、気になる誰かを思い浮かべながら、ゆっくりと、そのオレンジ色の瞳を閉じた。
月が、南の空に高くなっていた。
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