62人が本棚に入れています
本棚に追加
――夜が明け、シオン首都郊外――
…―カッ―――カンッ!!
二つの影が、何度となく重なっては離れ、乾いた衝撃音が辺りに響く。
―――…カコン!!
「どうだぁっ!」
茶髪の少年が飛び上がって、同じく茶髪の青年に向かって、木刀を思いきり繰り出した。
…―――ガァァン!
「…チッ……腕力は認めてやるか…」
青年の木刀の上半分が、乾いた音を立てて地面に落ちた。
「………」
青年の親友は、ただ黙ってその光景を見ていた。
「…へっ、山育ちを甘く見んなよ……」
少年は勝ち誇った笑みを浮かべて、もう一度飛び上がって、自分より頭一つほど大きい青年に向かって木刀を繰り出した。
「俺の勝ちだ!!」
「………悪いな」
青年は、自分に向かってきた木刀を瞬時に避けて少年の前腕を掴み、自分の片腕のみで彼をたやすく放り投げた。
→Next
最初のコメントを投稿しよう!