62人が本棚に入れています
本棚に追加
―西暦1x72年―
ここは、シオン共和国首都辺境の小さな集落…
東の空が赤く染まるころ…
深緑の髪をした青年は、一本結びの長髪を後ろに長引かせながら、生まれ育った家の扉を後にした。
風は殆どなかったが、この青年の髪は、足を踏み出すと同時に、静かに背中を流れた。
割と大きな河川に、弓なりに架かっている橋に着いたところで、青年は右肩を小突かれた。
右には、青年より背の高い、青年がいた。
「飛臣、お前も志願かよ?」
声をかけた青年は、ニッと笑みを浮かべながら、短い茶髪の後ろに片手をやって、深緑の頭を少しだけ見下ろした。
→NEXT
最初のコメントを投稿しよう!