路地裏の夢

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『brilliant Years』 何時の日も 空を仰ぐ。 そんなあなたを記憶している。 私の手が花で一杯の時も私の手が死に染まっていた時も 笑って天を仰いでいたあなたを記憶している。 他の世界に降り立ったあなたは悪魔だったかも知れない。でも私には最も愛するものだった。 誰より美しく誰より気高くそして優しい そんな生き物だった。 そう少なくとも私には。 私はあなたと時代を共に過ごせた事を誇りに思い幸せに思う。 誰よりも私に残酷に残存したあなたを愛しくそして疎ましく思う。 何時の日もあなただけが消えない。 私は記憶している。 空を仰ぐあなたを。 私は記憶している。 生にうなだれたあなたを。 私は記憶している。 ただ無力に亡骸の前で立ち尽くした自分を。 傲慢にも私はその時まであなたが好きだった空が 私とあなたを分かつと思っていなかった。 私は記憶している。 あなたが存在した事を
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