7/7
前へ
/32ページ
次へ
驚いた牝シマウマは 「何をしているのですか?」 と尋ねました。 「草を食べているんだ。なにしろ一週間何も食べてなくて、腹が減っちまったからな。」 雄ライオンは言いました。 「あなたは肉を食べる生き物です。歯の形、消化器官、体の構造がそういう風にできているのです。草は食べられません。そういう運命なのです。」 「誰が決めたんだい?その運命ってやつは。君かい?それとも神様とかいうやつかい? いや、そんなわけない。 だってこれは俺の人生なのだから。 一つの卵を玉子焼きにするか、目玉焼きにするかを決めるのが他人でないのと同じようにね。」 はぁ。と長い溜め息をつき、牝シマウマは言いました。 「そんなことを言っても草は食べられないでしょう。きっとすぐに吐き出してしまいますよ。 変えられない、それが運命なのです。 朝が来たら夜が来る。それと同じように。」 「とにかく静かにしてくれないか?俺は腹が減ってるんだ。 食事中は静かに、ってお母さんに習わなかったのか?」 牝シマウマが言い終わるのを遮るように、雄ライオンは言いました。
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2364人が本棚に入れています
本棚に追加