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驚いた牝シマウマは
「何をしているのですか?」
と尋ねました。
「草を食べているんだ。なにしろ一週間何も食べてなくて、腹が減っちまったからな。」
雄ライオンは言いました。
「あなたは肉を食べる生き物です。歯の形、消化器官、体の構造がそういう風にできているのです。草は食べられません。そういう運命なのです。」
「誰が決めたんだい?その運命ってやつは。君かい?それとも神様とかいうやつかい?
いや、そんなわけない。
だってこれは俺の人生なのだから。
一つの卵を玉子焼きにするか、目玉焼きにするかを決めるのが他人でないのと同じようにね。」
はぁ。と長い溜め息をつき、牝シマウマは言いました。
「そんなことを言っても草は食べられないでしょう。きっとすぐに吐き出してしまいますよ。
変えられない、それが運命なのです。
朝が来たら夜が来る。それと同じように。」
「とにかく静かにしてくれないか?俺は腹が減ってるんだ。
食事中は静かに、ってお母さんに習わなかったのか?」
牝シマウマが言い終わるのを遮るように、雄ライオンは言いました。
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