《第一章》

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「それにしても康介も大きくなったねぇ」 突然の里香の言葉に僕は苦笑いを浮かべる。 それは僕に対する嫌みか? 僕の身長は平均を大きく下回り、だいたい150前半。 それだけでも充分嫌みとなるのだが、里香の身長は160中盤と女子としてはなかなか高い。 顔立ちは誰もが振り返るほどの美人というわけではないけれど、それなりに整っている。 現在、発展途上の胸はこれからの成長に期待するしかないが、それはそれ。 さらに言うと、勉強面は……まあとりあえず置いとくとして、運動神経は女子の中でも高い方で体育の授業などでも活躍している。 肩ぐらいまで伸びた茶色の髪を揺らし、精一杯に打ち込む姿は男の僕が言うのもなんだが、カッコいい。 部活にでも入ればいいのだが、面倒なのでパスとのこと。 まともな運動神経さえ持ち合わせていない僕からすれば、宝の持ち腐れとも思わなくもないが、そこまで突っ込むことでもないので放置。 僕はそんな里香が羨ましいといえば、羨ましい。 僕だってそんな風に産まれたかった、なんて言ったら親に失礼かな? 「あはは…… そ、そうかな?」 まぁ、もちろん僕も成長期真っ只中ということもあって、小さいながら、それなりに成長している、はずである。 そう考えれば、特に気にすることでもなく、とりあえず誉め言葉として受け取っておくことにした。 僕は僕であって、里香は里香だ。 羨もうが何しようが、それは変わらないしね。
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