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「はい里香、ただ写すだけじゃ勉強にならないから、せめて解き方ぐらいは頭に思い描きながら、書いてよね?」
「もちろん分かってるわよ。
頭に入るかどうかは別だけど……」
プリントを渡すと里香は勢い良く、自身の白紙のプリントへとシャーペンを走らせる。
どうやら僕が言ったことは当然のごとく分かっていないらしい。
最初は下手なコピー機のようになった里香を見守っていたのだが、見ているだけではつまらないのであって、仕方なく僕は自分の席に戻り、持参したライトノベルを鞄から取り出す。
あの調子なら十分もしないで写し終わるだろうし、間違っても提出しなければならない一時間目に間に合わないと言うこともないだろう。
ちなみにそのライトノベルは炎髪灼眼の女の子が戦う物語の最新刊だったりするが、特に関係ない。
当たり前だが、カバーは常時装備。
基本である。
とは言っても、この学校はある一つ上のとある先輩による絶大な影響力によってオタク文化が浸透しきっているので、冷たい視線なんてまったくないのだが。
自由な校風が幸か不幸か、それをさらに助長させたのもあるらしい。
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