《第一章》

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僕達が着いた頃には既にパトカーが一台止まっており、近所のおばさんなどの野次馬がその様子を見ながら小さな声であれやこれやと囁き合っていた。 その時は大したことではないと判断し、そこで切り上げたのだが、やはり気にはなる。 ニュースで小さく取り上げられてはいても、実際に見てみなければ分からない。 というわけで、その翌々日、僕達は再びその公園へと足を運んだのだ。 生々しい傷跡。 それこそ至る所に残っている。 木の表面やブランコなどの遊具にまで。 刃物で斬りつけたようにも見えるが、明らかにその切れ味はおかしすぎる。 木の表面――とは言っても堂々と真ん中ではなく、端の方―だけど―を何回も斬りつけた後があるが、それら全てが見事に反対側にまで達している。 さらにブランコなどの鉄製の遊具などもかなり深く傷付いていた。 僕は刃物などほとんど使ったことがなく、それこそたまに親の手伝いをする時に包丁を、あるいは紙を切るときにハサミとカッターナイフぐらいなものだが、ここまでの切れ味を刃物が持ってるとは思えない。 仮に日本刀などがあったにしても、よほど使いこなしてなければ無理だろうし、すぐに刃こぼれを起こすだろう。
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