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「うげっ、もしかのもしかして、それ、今日提出する宿題か……?」
突如、和也がすっとんきょんな声を上げた。
「う、うん、そうだよ? 今日の一時間目に提出」
「うわー、まったくやってねえ!! 隆史はやってるのか!?」
「当たり前。あんなのもやってないなんて、バカなの? 死ぬの?」
「チクショー!! おい、康介、頼むからそのプリント貸してくれ!? これ以上宿題忘れたら、二学期最後には平常点なくなっちまう!?」
「いや、別にいいのはいいんだけどさ……」
「……どうしたんだよ、そんなに渋って? はっ、もしかして安達に言ってたように自分でしろってか!? それでも安達の奴には見せてただろ!?」
安達と言うのは里香の名字である。
出席番号二番。
僕は一番。
ちなみにこれに全く意味などない。
「……いや、確かにそれもあるんだけどね……」
「だったら何だよ!? 頼み方が悪いのか!? いや、確かに頼み方は悪いけど……
じゃなくて、だったらどうすればいいんだ!?」
「……もう朝のHR始まるから」
僕が黒板の上に掛かっている時計を目で示すと、同時に虚しくも聞き慣れたチャイムが鳴り響いた。
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