《第一章》

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. . . . ‡ 時は過ぎ、放課後。 あの後、宿題忘れに定評のある和也は数学の担当教師にグチグチ文句を言われたり、耳を引っ張られたり、乳首をつままれたり、とそれなりの仕打ちを受けた。 みんなの笑い声に包まれる中、悔しそうな視線を僕に向けるのは止めて欲しかったが。 さらに休み時間に愚痴と文句を零すのを含めて。 とりあえずそれは適当に謝り、適当に流した。 そもそも僕には責められるだけの理由が全くないのだから。 昼休みには里香に宿題のお礼だと学食で昼飯を奢って貰った。 これはこれで嬉しいが、僕は僕で里香に今までのお礼と言うことで、尽くしてもいるのだから複雑だ。 もしやこれで永遠に貸し借りのループを狙っているわけでもあるまいし。 里香はそこまで策士ではない。 だがしかし、先輩からそういう知識や技能を得てないとも言い切れないのも事実である。 ……これからは少しばかり注意しておこう。 策士とは、それが策だと気付かせないので策士なのだ。 つまりは孔明の罠だと言う可能性も……
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