《第一章》

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「……おはよう」 ようやくリビングに顔を出す。 すると香ばしい良い匂いが鼻をついた。 「あっ、おはよう、康介」 台所で朝食を作ってる母親の声がかかる。 僕は、うん、おはよぉーと半分、適当に返すとテーブルについて、テレビをつけた。 だいたい朝のこの時間帯に放送されているのはニュースばかり。 別に見てて楽しいってわけじゃないけど、いつも見てるものだし、今日もなんとなく見る。 今日のニュースはどこかの誰かさんが行方不明になったとかそんな話。 どうせ僕には関係ないけど、少し近所で起こった事件ということもあってたまたま目を惹いた。 「最近、こういうの多いわねぇ…… 康介も気を付けなさいよ?」 心配そうな声を上げながら、テーブルへと朝食を並べる。 僕もそれに倣った。 ちなみに今日の朝食は白米と味噌汁。 成長期の高校生からしたら少ないんだろうけど、僕にはこれぐらいは丁度よい。 まぁ、朝食も食べない人もたくさんいるみたいだし、それと比べたら、随分マシだろう。 「うん、分かってる…… いただきます」 僕は手を合わせ、朝食を口へと運ぶ。 白米の甘さが口いっぱいに広がる。 よく噛んだあと、味噌汁を静かに啜って、それを胃袋へと流し込んだ。
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