ピエロと女の子

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「やあやあ、皆様、こんばんわ♪今宵は赤鼻、玉乗りをご覧にいれます。」 赤鼻のピエロが高々と両手をあげると、舞台後ろから大きな大きなカラフルな玉が、ド派手なクラッカー音と色鮮やかな紙吹雪の中、転がってきた。 ひょいっと大玉に飛び乗った赤鼻は、器用にも大玉を観客席ギリギリの所で転がしてみせた。 ワーッと歓声が湧くと、赤鼻は逆立ちをして、大玉を転がし続けた。 しかし、赤鼻の目に見えてるのは、会場中が喜んでいるのに対して、一人だけ笑いも驚きもせず、ただただ、不快な顔をして自分を見てくる女の子だけだった。
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