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「あっでも…」
僕は目の前の三人をみる。進士と聡はポカーンとしているが、薫は先輩をみていう。
「先輩、連れてっていいですよ」
「本当!?ありがとーお友達くん♪」
「橘です」
「南浜です」
二人は俺の意見を無視して話を進め、自己紹介までしあっている。
「じゃあ真緒くん借りてくね?まぁくんいこう♪」
そう言うと先輩は俺の手を引っ張る。
「あの、せ、先輩?」
「真緒、後でな!」
薫だけが手を降っていた。
僕らは裏庭のベンチに座った。なぜか二人には広いはずのベンチでかなり近づいて座っている。
「先輩…何か近くないですか?」
僕がそう問うと、先輩は笑って答える。
「だって恋人だもん」
そんなもんだろうかと考えていると、先輩は俺の袖を引っ張り、上目遣いに言う。
「私とくっつくの…いや」
「全然!むしろ嬉しいです」
男って単純だとつくづく思う。
というか先輩わかっててやってるんじゃないかと思ったけど、たとえそうだとしても引っ掛かるだろうから聞かなかった。
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