第一話 豹変

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―次もあるんだと思う。 俺の前に、先例という屍が横たわっていたから。 彼女から引き離されると、直ぐに別室に移された。 大きな…恐竜の肌をした体が横たわっている。 そこから、血液を取り出す。 その隣に拘束されるなど英雄の、待遇じゃない。 否、これが、戦果を上げた存在への待遇に違いない。 初めて、 夢にまで見るほど、 愛しい彼女に会えた。 それだけで死地に立つ意味がある。 造られた幸福感。 手足の拘束具など、あの幸福感の前に大した意味をもたない。 麻酔が打ち込まれる。 痛みの切れぬうちに、赤いものが、血管に注がれる。 静かに、 この幸福感でたゆたうのならば、 怖いものなど 無いはずなのだ。 喩え、色々なものを失っても… それが、 彼女のためならば。
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