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―……?
気付けば、戦場に向かう列車に一人きりだった。
貨物を積むコンテナに一人きり。
明かりはない。
一人には広すぎる。
ゆっくりと起き上がると…肌が、空気に冷たく撫でられた。
立ち上がれば、視点が高い気がする。
…嗚呼、
間もなく戦場への扉が開かれる。
そうなれば、全てを捨てて、
駆って、
狩って、
刈って、
苅って、
駆って、
狩って、
狩って、
狩って、
狩って………
………どう、するんだっけ……?
『帰ってきて』
甘い声が響く。
―……ああ、そうか。
改竄された感情さえ闇に飲まれて、孤独が絡み付く。
僅かに開いていた手を握れば、
鉤爪のせいで、
腕を引っ掻く気配がした。
【終】
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