第二話 装飾

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+1+ 内臓が好きだった。 特に腸が好きだった。 全身に巻いてもまだ先がある。 生暖かく生臭いそれに、生まれた瞬間を垣間見ているのかもしれない。 それが正確には事実に悖ることは知っていても、こんな表現を愛しく思う。 「ずっと取って置けたら良いのに」 ぐしゃ 「すぐ傷むから眠れないじゃないか」 ぐしゃ 「一本しか無いのが悪いんだ」 ぐしゃ 「あ、何本かあっても傷むスピードは」 ぐしゃ 「変わらないか」 ぐしゃぐしゃ ぐしゃぐしゃぐしゃ 端から靴の踵ですりつぶす。 起きてから暇つぶしにする行動。 食べれたならばもう少し、有効活用が出来るだろうが…残念ながら人肉を食するまでには至ってない。 血くらいなら良いかもしれないが…敢えて啜る必要はないか。 「あー…」 退屈だと零すのも面倒で、声だけを吐き出した。
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