4/5
前へ
/30ページ
次へ
ということで、改めて考え直した僕はあの青年にボディータッチをされたら抵抗することにした。それで何か言われたら、その時はその時だ。 だから、ほら。こうやって手を握られ……っ! 僕は誰かに手を握られている事に気付き、とっさにその手を振り払った。 「どうして振り払っちゃうの、君はいつもあの子と手を握り合っていたじゃないか」 僕の前には僕とほぼ同じ身長の中年男性が立っていた。 カウンターにはガムが置いてある。僕は気味が悪くなって、無言でガムにバーコード読取り機をあてる。   [[ピッ]]   『君が好きだ君が好きだ君が好きだ君が好きだ君が好きだ君が好きだ君が…』 僕は激しい震えのせいでガムを床に落としてしまった。謝りながら床に落ちたガムを拾いあげ、そのまま立ち上がると、中腰になった時点で頭に何かがあたった。 上目遣いで見ると、それが中年男性の手であることがわかった。その手に僕の髪が絡む。僕がその手を掴もうと手を伸ばした時だった。中年男性の手を僕よりも早いスピードで誰かが掴んだ。見覚えのある白くて細い手だった。手を掴まれた中年男性は、僕の髪を放した。僕がすかさず立上がり、2人を見た。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加