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「今日からここでアルバイトとして働かせて貰うことになりました。宮和(みやなぎ)です。よろしくお願いします。」
ということで僕はコンビニで働くことになりました。
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時間は当たり前
品揃えの数が多いのも当たり前
様々な人が利用するのも当たり前
店員がアルバイトだらけなのも当たり前
客がいないことは更々ないのも当たり前
ただ…当たり前でないものがひとつ。
それはレジ係の僕だけが唯一知っていること、知ってしまったこと、知り得たこと…。
僕のシフトは夜なので、大体は暇だ。今は立ち読みの客がいる。読むならさっさと買って家で読めよ、と心の中で呟いて僕はため息をついた。
そんなことを思っていた時、立ち読み客が雑誌を持ってレジへ向かって来た。レジに来た40代半ばのサラリーマンは僕にイヤらしい雑誌を渡した。その雑誌は僕の愛読書であったから、僕はサラリーマンに親近感を抱いた。
僕は雑誌を手に取り、バーコード読取り機をシマウマ模様にあてる。
[[ピッ]]
僕は値段を確認して、相手に伝え商品を袋に入れた。
サラリーマンは小銭を出すことに苦戦していたので、僕は少し暇になった。もう一度確認画面を見て値段と商品名を見た。
その時、僕は異変に気付いたのだ。
商品名のあとに()があり、その中に何かが書いてある。
サラリーマンが小銭探しに熱中していることで出来た余裕を使い、僕は()の中の文を黙読した。
『この表紙のアミちゃん可愛いんだよな~家に帰ったら撫で撫でしなくちゃ。』
「はあ!?」
僕は思わず声を出した。だって、こんな文章読んだら驚くだろが。でも…わからないことはない。
「あのー…私がお金を出すのが遅いから怒られたのでしょうか??」
「あ、いえ…すみません」
僕はサラリーマンの差し出している1000円札を受け取って、レジに打ち込んだ。結局1000円かよと思いながら、僕はおつりを渡した。
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