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    ()の中の言葉は一体何だったのだろう。確かにあの人の買って行った雑誌の表紙は、人気グラビアアイドルのアミちゃんだったけど…商品名にあんなこと書くはずない。愛読書の僕はあんな文を読んでない。じゃあ…あの文はいったい……。   「あの~」   レジの前にはメガネをかけた背の低いいかにも優等生と呼べる少女がいた。僕は長身だから、その子を上から見る形になるが、上から見たビジョンは漫画に出てきそうな“か弱い女の子”のようだ。 彼女の差し出したコンビニ駄菓子コーナーのチューインガムを受け取り、バーコード読取り機をシマウマ模様にあてる。   [[ピッ]]   値段を確認して、僕は相手に伝える。彼女がお金をピッタリ出したので、僕は金額を打ち込んだ。確認画面を見た時、またも商品名のあとに()があることに気がついた。僕は出てくるレシートを待つ間にその文を黙読した。   『そろそろ眼鏡キャラ飽きたなあ。キャラ替えしおっとお』   「キャラ替え!?」 「ほえぇっ!?」 僕の言葉に彼女が反応した。僕はヤバいと思い、彼女にレシートを渡すさいに一言「眼鏡お似合いですよ」と言ってみた。だってこんな小さくて可愛い子は眼鏡キャラじゃないと萌えないじゃん!って思ったから…。ついでにあの雑誌のアミちゃんも眼鏡キャラで、僕のお気に入りでもあるのだ。だから、キャラ替えはやめろという勢いで、その言葉を相手にかけた。 彼女は弱く怯えたような返事をして、足速にコンビニを出た。 こんなヘンテコなレジで僕は働いた。他のアルバイトの人に()の話をしても、馬鹿にされ笑われるだけだった。        
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