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彼の声は青年というより、少年のようだった。しかも喋り口調が爽やか系だ。僕は「はい」とだけ言って、彼におつりを渡した。 今日も手を握られる。 「毎晩、こんなことしても何も言わないんですね、おかしな事なのに…」 「お客様に不愉快な思いは、させてはいけませんから」 「ふーん…ってことは我慢なさってるんだ」 彼は僕の手を放し、商品をポケットに入れてコンビニを出た。 正直、僕はビビっていた。自分でもあんなに冷静に物事を処理したことに驚いた。相手がホモだと知っていて、手を握られることを拒まない僕は変だと思う…けど、こうゆう職業は我慢すべきなのだと思う。だってお客様第一主義だし…。けど、この我慢って…おかしいよな。明らかに無意味で嫌なことされてるよな。抵抗あり?…でいいんだよな。
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